「ねぇ、翡翠」
「何?日和ちゃん」
帰り道、私は翡翠と並んで帰っていた。
そして、昼から聞きたかったことを聞くことにした。
「青柳颯太に、何を言われたの?」
私の言葉に、翡翠はふふっと笑った。
「そんな怖い顔しなくても、私は嫌なことは言われてないよ」
気づかないうちに顔を強ばらせていたようだった。
「聞かれたんだ、本当に坂瀬くんが好きなのかって」
「...青柳颯太の馬鹿...なんでそんなこと...」
「ううん、青柳くんは悪くないよ。青柳くん、色々教えてくれたんだ。例えば...日和ちゃんのことが、好きなこととか」
翡翠の表情は切なげで、泣きそうだった。
「...すっごく大切に思ってるの。日和ちゃんのことも、坂瀬くんのことも。私は坂瀬くんのことが好きだけど、それよりも...私はそんな風に...青柳くんみたいになりたいって思ったんだ」
「翡翠は、自己犠牲が良いことだって言うの?」
「ううん。そういう訳じゃない。だけど、青柳くんみたいに本気で人を大切に出来る人って、そうそういないよ。そういうところはすごく尊敬できる人だって思った。私も思うの。大切な日和ちゃんのことも、好きな坂瀬くんのことも、私はどっちにも幸せになってほしい。私にとってこれは自己犠牲じゃなくて、私にとっても幸せなことなんだよ、きっと」
坂瀬くんのことを思って苦しそうな表情をする翡翠はもういなかった。
すっきりした表情で、誇らしげに私を見て笑っている。
本当に、どこまでも。
「翡翠も青柳颯太も、良い人過ぎるんだよ、馬鹿...」
一番幸せな私が、一番泣きそうだ。
「これからは青柳くんと一緒に二人を応援するよ」
底無しの優しさと、あたたかさ。
翡翠と青柳颯太は、なんとなくどこか似ている。
真逆なようで、どこか同じ考え方を持っているのかもしれない。
自己犠牲じゃない。
その翡翠の言葉に、救われた気がしていた。
青柳颯太を傷付けた。
青柳颯太は優しいから、自分を犠牲にして坂瀬くんや私を幸せにしてくれる。
でも、もしもそれが少しでも青柳颯太を幸せに出来ることなら、私は坂瀬くんを諦めたくない。
「何?日和ちゃん」
帰り道、私は翡翠と並んで帰っていた。
そして、昼から聞きたかったことを聞くことにした。
「青柳颯太に、何を言われたの?」
私の言葉に、翡翠はふふっと笑った。
「そんな怖い顔しなくても、私は嫌なことは言われてないよ」
気づかないうちに顔を強ばらせていたようだった。
「聞かれたんだ、本当に坂瀬くんが好きなのかって」
「...青柳颯太の馬鹿...なんでそんなこと...」
「ううん、青柳くんは悪くないよ。青柳くん、色々教えてくれたんだ。例えば...日和ちゃんのことが、好きなこととか」
翡翠の表情は切なげで、泣きそうだった。
「...すっごく大切に思ってるの。日和ちゃんのことも、坂瀬くんのことも。私は坂瀬くんのことが好きだけど、それよりも...私はそんな風に...青柳くんみたいになりたいって思ったんだ」
「翡翠は、自己犠牲が良いことだって言うの?」
「ううん。そういう訳じゃない。だけど、青柳くんみたいに本気で人を大切に出来る人って、そうそういないよ。そういうところはすごく尊敬できる人だって思った。私も思うの。大切な日和ちゃんのことも、好きな坂瀬くんのことも、私はどっちにも幸せになってほしい。私にとってこれは自己犠牲じゃなくて、私にとっても幸せなことなんだよ、きっと」
坂瀬くんのことを思って苦しそうな表情をする翡翠はもういなかった。
すっきりした表情で、誇らしげに私を見て笑っている。
本当に、どこまでも。
「翡翠も青柳颯太も、良い人過ぎるんだよ、馬鹿...」
一番幸せな私が、一番泣きそうだ。
「これからは青柳くんと一緒に二人を応援するよ」
底無しの優しさと、あたたかさ。
翡翠と青柳颯太は、なんとなくどこか似ている。
真逆なようで、どこか同じ考え方を持っているのかもしれない。
自己犠牲じゃない。
その翡翠の言葉に、救われた気がしていた。
青柳颯太を傷付けた。
青柳颯太は優しいから、自分を犠牲にして坂瀬くんや私を幸せにしてくれる。
でも、もしもそれが少しでも青柳颯太を幸せに出来ることなら、私は坂瀬くんを諦めたくない。



