「お待たせ」


それからすぐに、青柳颯太と翡翠が戻ってきた。


「あ、おかえり、二人とも」


坂瀬くんは緩く笑って二人を迎える。

私は翡翠の表情を確認した。
それと同時に、翡翠は私と目を合わせた。

心臓がバクバクと音を立てる。

しかし、翡翠は予想外の反応を示した。

私を見て、いつもと変わらずに微笑む。
坂瀬くんが好きだと言う前と何も変わらない。

私の表情を見て、青柳颯太と翡翠は顔を見合わせて笑っていた。
もう、何がなんだか。


「日和ちゃん」

「何、翡翠」


突然呼ばれて、少し緊張して。
でも、翡翠の優しい笑みに、どこか安心して。


「私は、やっぱり日和ちゃんを応援するよ」

「えっ...」


何のことだかは分かる。
私の恋愛のことだ。


「どうして...?」

「それはまた後でね」


翡翠はふふっと笑って、坂瀬くんを見た、

坂瀬くんは何の話だか分からないようで、疑問符を浮かべている。


「頑張ってね!」


そして、今まで坂瀬くんに見せたことがないくらい自然な、全て吹っ切れたようなすっきりした笑顔でそう言った。


「う、うん...?」


坂瀬くんは困ったような表情で、曖昧に頷いた。