裏庭は私達だけで、とても静かだった。


「何、こんなとこで」

「天馬のこと諦めんなよ」

「はぁ?」


突然何を言われるかと思えば。

私は間抜けな声を出してしまった。


「...天馬にとって、多分お前は特別だから」

「そんなことないでしょ。誰にだって優しいし」

「天馬は気づいてねぇんだよ、自分がお前を特別に想ってることに。アイツ、そういうことにはとことん鈍感だから」

「そんなの...そんなのただのアンタの想像じゃん!」

「んじゃ、天馬じゃなくて俺にする?天馬のこと諦めてんなら、俺と付き合ってみる?」


その青柳颯太らしくない言葉に、衝撃を受ける。


「何それ...私のこと馬鹿にしてるの?冷やかし?貶してんの?」


無性にイライラしているのは、青柳颯太だけのせいじゃない。
それでも、私は声を荒らげてしまった。


「...貶すわけねぇだろ」


青柳颯太は、辛そうな表情でそう言った。

そして、信じられない言葉を口にした。


「俺はお前が好きなんだから」