「授業の合間の休憩で読んでたんだけど、『Teary eyes』ってすっごく引き込まれるね」

「だろ?俺もこの本すっげぇ気に入った!最高だよな!」

「なんでお前が自慢気なんだ、天馬」

「あ、遊佐さんのセリフ奪っちゃった?」

「大丈夫、私はそんなセリフ言わないから」

「それってなんか貶してない!?」

「そ、そんなことないから!」


昼休憩。
私達は昼食をとりながら話していた。

随分とみんなの距離が縮まって、すごく居心地が良い。

いつの間にか私達四人組は、周りからも仲良しだと思われているようで。

そんなグループが出来たことなんて初めてだったから、なんだかくすぐったい。

このままこの距離でいられたら。

そんな風に、無意識に願っていた。


「さ、坂瀬くん」

「ん?何?白河さん」

「あ、あのね...私にも、本、貸してくれないかな?」

「本?いいよ。んじゃ、明日持ってくる」

「嬉しい。楽しみにしてるね」


だから、気づかないふりをしていた。

この距離を、壊したくなくて。