世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-

「日和ちゃん」

「何?」

「私にもその本、貸してくれるかな?なんか、読んでみたくなっちゃった」

「もちろん。明日持ってくるよ」


翡翠は私の返事に笑顔で頷いた。


「...遊佐さん」

「な、何?」

「...俺にもまた本貸してくれないかな。遊佐さんが好きな本、もっと知りたいからさ」


坂瀬くんの言葉が、素直に嬉しかった。

でも、やっぱり私は素直じゃないから。


「...坂瀬くんも貸してくれるならいいよ」


素直じゃないから、ワガママを言ってしまうんだ。

坂瀬くんは私のそんなワガママに、「もちろん!」と顔を綻ばせた。


「んじゃ、俺にもなんか本貸せよ、遊佐」

「えー、重くなるから嫌」

「なんだとコラ」

「あははっ、嘘だよ。超オススメのヤツ持ってきてあげる」


青柳颯太には、もっと意地悪な返事。

それでも笑い合える、やっぱいい友達だなぁと思う。


「仲良しだね、日和ちゃんと青柳くん」

「ほんとほんと、いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」


二人の言葉に、私と青柳颯太は、同時に叫ぶ。

「「別に仲良くないし!」」