世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-

「なんだか、久しぶりな感じがしちゃうね。気のせいかな?」


結局翡翠はあっさり快諾して、私達は四人で昼食をとっていた。

坂瀬くんと青柳颯太と昼食を共にするのはこれが三回目。
一度目は翡翠はいなかったけど、毎回違う空気だ。


「...遊佐」

「な、何」

「お前の好きな本、何」

「え?えっと、『Teary eyes』だけど」


青柳颯太の意外な質問に、私は戸惑いながらも答える。


「天馬、お前読んだことある?」

「あ、ああ。あるよ。面白かった」

「白河は?」

「私はないけど...」

「んじゃ、二人でその本の良さ、俺らに教えてくれよ」


珍しく青柳颯太がその場の話を進め、私と坂瀬くんに本の説明をしろ、と言ってきた。


「...女の子がさ、綺麗な世界を見て、いつも涙を浮かべてるんだ」


戸惑いで何も言えない私の隣で、坂瀬くんが話し出した。