坂瀬くんと二人で歩く廊下。

今までならどうってこと無かったのかもしれないけど、今は青柳颯太と二人で歩いた時より気まずかった。


｢颯太ってどんなヤツ？｣


唐突に、坂瀬くんが聞いてきた。


｢えっ？｣


私はそれに聞き返してしまう。
私より坂瀬くんの方が、青柳颯太との距離は近いはずなのに、そう聞いてきたことに、疑問があった。


｢あ、いや...俺、颯太が他の人と関わってるとこ、あんま見たことないからさ。今俺以外で一番颯太と仲良いの、遊佐さんなんじゃないかって思って｣


遠くを見つめるような、そんな視線。
今、坂瀬くんの隣に私はいるだろうか。
そんな、訳の分からない不安のような何かが、胸に広がった。


｢...悪いヤツじゃないよ。ただ、ちょっと捻くれてるし、憎まれ口ばっかり叩くヤツだけど。でも、一緒にいて、あまり...｣

｢あまり？｣

｢...あまり、気負わなくていい、かな｣


いや、多分、もっと。
居心地が、いいのかもしれない。

もしかしたら私は、坂瀬くんの前より、青柳颯太の前の方が、自分をさらけ出している気がした。