次の日、私は学校に早めに来て、坂瀬くんの席に本を置いた。
会ってしまえば、話したくなってしまう。
この本の感想、私の写真、翡翠の絵、これからも、たくさんの本を...。
そこまで思って、その考えを振り払った。
私は同じものを好きになってくれた人に会ったことがなかった。
いや、私の好きなものをこんなにも話したい、分かって欲しいと思ったことがなかった。
坂瀬くんだけだと、改めて思った。
坂瀬くんにだけ、好きな本を教えた。
坂瀬くんにだけ、好きな絵を教えた。
坂瀬くんの本だけ、本気で読みたいと思った。
坂瀬くんのことだけ、こんなにも考えるようになった。
自分がこんな単純で、複雑な。
こんな思いになるなんて、思わなかった。
恋なんてするはずないと、何の根拠もなく思い込んでいた。
早く、離れなきゃ。
ここから離れなきゃ、坂瀬くんが来てしまうのに。
それでも私は、坂瀬くんの席の前から離れられなかった。
そして、声が聞こえた。
「おはよう、遊佐さん」
会ってしまえば、話したくなってしまう。
この本の感想、私の写真、翡翠の絵、これからも、たくさんの本を...。
そこまで思って、その考えを振り払った。
私は同じものを好きになってくれた人に会ったことがなかった。
いや、私の好きなものをこんなにも話したい、分かって欲しいと思ったことがなかった。
坂瀬くんだけだと、改めて思った。
坂瀬くんにだけ、好きな本を教えた。
坂瀬くんにだけ、好きな絵を教えた。
坂瀬くんの本だけ、本気で読みたいと思った。
坂瀬くんのことだけ、こんなにも考えるようになった。
自分がこんな単純で、複雑な。
こんな思いになるなんて、思わなかった。
恋なんてするはずないと、何の根拠もなく思い込んでいた。
早く、離れなきゃ。
ここから離れなきゃ、坂瀬くんが来てしまうのに。
それでも私は、坂瀬くんの席の前から離れられなかった。
そして、声が聞こえた。
「おはよう、遊佐さん」



