世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-

昼休憩。

坂瀬くんは私と翡翠の元に来て、「一緒にどうかな」と誘ってきた。

それに了承して坂瀬くんの後を着いていくと、着いたのは物理室。
そこには青柳颯太もいた。


「昨日言ったでしょ?今度は白河さんも一緒にって」


青柳颯太は無表情で私達を見ている。
翡翠は「わざわざ誘ってくれてありがとう」と頭を下げた。


「はは、白河さんは丁寧だな。あ、そうそう。この前、白河さんの絵を遊佐さんに見せてもらったんだ。すっげぇ感動した」

「そうだったんだ。そう言って貰えて嬉しい」


翡翠はそう言って微笑む。

さすが女の子らしい。
私みたいな可愛くない反応じゃない。


「また見に行ってもいいかな」

「もちろん。いつでも見てやって」


仲良く話す翡翠と坂瀬くん。
あまり話したことがないのにこんなに話が弾むなんて、二人は気が合うのかもしれない。

そう思うと、どこか切ない気がした。
別に私が沈む理由はどこにもない。
それなのに、坂瀬くんが笑顔で話すところを快く見られなかった。

そして青柳颯太は、翡翠と坂瀬くんを無表情で見て、視線を逸らした。

まるで何か、悩んでいるようだった。