突然のことに、驚く。


「天馬って呼んで」


優しく、甘くて蕩けてしまいそうな表情。

その瞳に見つめられて、自然と首が縦に振られる。


「天、馬...」

「うん、何?」

「...じゃあ、私のことも、下の名前で呼んで」

「...うん。日和」


不器用な私達は、それさえも緊張していた。

だけど、幸せで蕩けそうなその空気は、居心地が良かった。


「日和。俺、日和が好き」


そして唐突に、彼はそう言った。


「日和のことが、ずっと好きだった」


もう、胸がいっぱいだ。
幸せな胸のきゅんとした苦しさ、胸が高鳴って、理由も曖昧なまま涙が溢れてしまいそうな。
でも、幸せで、幸せで、声を出すことすら、難しくなりそうな。


「私も...好き、だよ」


必死に言葉を紡いでそう言うと、天馬は嬉しそうに顔を綻ばせた。