放課後になった。


「日和ちゃん、バイバイ」

「うん、また明日ね」


翡翠に返事をして、私はゆっくり帰る準備を始める。


「見て見て坂瀬くん!」

「んー?どした?」

「このネックレス可愛くない?」

「ほんとだ、可愛い。彼氏から?」

「うん!裕也がくれたんだ!この淡いピンク色の石が可愛くて気に入ってるんだー」

「佐野さんによく似合ってるよ」

「ありがとー坂瀬くん!」

「なぁなぁ聞いてくれよ天ちゃん!俺、来週サッカーの試合なんだよ」

「そうなんだ!頑張って、応援してるよ」

「でも自信が無くなってきたんだよなー...」

「えぇ、篠田くんなら大丈夫だと思うけどなぁ」

「マジ?」

「マジマジ。篠田くんが頑張って練習してるのよく見てたし、ゴールだってすっげぇ決めてるじゃん。自信持っていいと思うよ、俺」

「なんか天ちゃんに言われると自信湧いてきた、ありがとな!ぜってぇ勝つから!」

「おう!いい報告待ってる!」


どんな話を振られても、相手を笑顔に出来る。
坂瀬くん自身は、相変わらず薄笑いで対応しているように見える。

確かにこう見ると、聞き上手っていうのがよく分かる。


「なぁ、坂瀬!」

「ん?何?」

「今度一緒になんか食いに行こーぜ」

「おう、いいよ」

「坂瀬、何が好き?」

「ん?俺は何でもいいよ。小島くんに合わせる」

「そう?んじゃ、そこのハンバーガーでも食いに行こ」

「おう、楽しみにしとく」


相変わらず、自分のことについてはあまり話さないし、主張しないけど。