世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-

「林檎飴食べたいなぁ...あ、でも綿菓子も食べたい...うわぁ迷う...」

「はは、白河って思ったより食うんだな」

「あーっ、青柳くん、それちょっと失礼ー」


青柳颯太と翡翠の仲は深くなったみたいだ。


「じゃあ翡翠、私と半分こする?」


私がそう言うと、翡翠は首を横に振った。


「ダメだよ、日和ちゃんは坂瀬くんと半分こしなきゃね」

「えっ、えぇ!?無理無理、そんなこと言えないし」


私がそう言うと、青柳颯太は笑った。


「そのことなら大丈夫だよ、遊佐」

「えっ、大丈夫って?」

「ただし、お前が天馬の一番近くにいればの話な」


坂瀬くんの、一番近く?
坂瀬くんを目で探してみると、射的に夢中な坂瀬くんを見つけた。

真剣な顔で狙いを定め、銃を構える。
片目を閉じて、坂瀬くんは宛らスナイパーのような、そんな気分なんじゃないかと思う。

そして、パンッと乾いた音がして、なにかが落ちる音がした。


「よっしゃあ!」

「おぉ、上手いね、お兄さん」

「俺、射的すっげぇ好きなんすよ」


無邪気にお店の人と話す坂瀬くん。

そんな坂瀬くんに、近寄ってみた。