スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

神様は
なんて残酷なんだろう。


『あんたに一番に見せたかったんだ。』


昼間そう言って見せてくれた、春木さんの過去の作品たち。
春木さんがここまで歩んできた足跡。

私はそれに心を掴まれて、アシスタントになったんだ。


その全てが
この世から消えてしまう?


「……っ」


ぎゅっと握った拳が震えた。

様々な感情が波のように押し寄せ、自分でも整理がつかなかった。

立っていられるのが不思議なほどだ。


「春木さん……」


続ける言葉は見つからなかったけれど、名前を呼びたいと思った。

返事をしない春木さんの瞳は虚ろなまま。

受け止めきれない現実に押しつぶされそうな彼の姿が痛々しくて、目を背けた先に
関係者専用の入口を見つけた。