スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

オーナーからの電話を受けた後、私達はタクシーに飛び乗った。

体中から冷や汗が吹き出て止まらない。

春木さんも押し黙ったままだけれど
狭い後部座席で少しだけ触れ合っている手が震えていた。


信じられなかった。
信じたくなかった。


けれど無情にも
それは現実だった。




タクシーを降りた私達の目に映ったのは

轟々と音をたてて燃え盛る
空まで届きそうなほどの火柱に包まれた、個展会場だった。