スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

零れ出た疑問は
おそらく彼の意表を突いたはずだ。


「だって、あの撮影からなんです。春木さんの元気が無いの……だから、」

「好きだよ。」


春木さんが口にした
シンプルだけれど、曇りない気持ち。

言いかけた言葉を喉の奥で見失う。
意表を突かれたのはこちらの方だった。


「……とでも言えば、満足?」


薄笑いを浮かべているけれど、確かに怒っている。
春木さんはそのまま私に背を向けた。


「人の過去探る暇あったら、現場の事勉強でもしろよ。」


バン!と勢いよく扉を閉め、春木さんは事務所を出て行った。