スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜


「……生意気な事言ってくれるじゃん。」


私を見下ろす春木さんの目も、声も、怒りに震えていた。
でも私は俯かない。


「素人のお前に何がわかんの?」

「わかります。ずっと見てきたんです。春木さんの写真を、ずっとずっと見てきたんです」


昔も、今も。

春木さんの写真は
心の拠り所だから


「すぐわかります。春木さんが落ち込んでる事も」

「……ほんとウザい、お前。何なの」


春木さんは心底うっとおしそうに視線を外した。

これ以上はいけない。
ただのアシスタントが踏み入っていい場所じゃない。

わかっているのに。



「……西澤さんの事が、まだ好きなんですか?」