スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

ある日、私が出社すると春木さんは既にパソコンで仕事を始めていた。

眉間に皺が寄っている。

提出期限が二日後に迫った個展会場のレイアウト案の作成だという事はすぐにわかったので、邪魔をしないよう挨拶もそこそこに自分のデスクについた。


出歩く仕事が続いていた春木さんは、一番大切なはずの個展に関わる作業に取りかかるのがギリギリになってしまったのだ。

それについては内心ヒヤヒヤしていた。


「……オッケー」


やがて春木さんの大きなため息と共に、プリンターが用紙を吐き出した。


「よっしゃ、完成!これでいいだろ」

「お疲れさまでした!」


春木さんが印刷したての図面を私に差し出す。


「これでいくわ。先方さんへの連絡よろしく」


受け取った図面をまじまじと見つめた。


……ん?