スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

個展会場と事務所を往復する日々が続く。

最近は私一人で打ち合わせに向かう事も少なくなかった。

春木さんと会場側、双方の意見を擦り合わせるのは神経を使うけれど
その分、充実感も感じられた。


「では、また具体案を持ってきます。」

「あ、出来れば今度は春木くんも一緒に連れてきてよ。細かいとこ詰めないとさ。時間も無いし」


以前事務所に訪ねてきたオーナーがにこやかに言った。
私は曖昧に頷きながら立ち上がる。


会場の外へ一歩出ると心なしか肌寒かった。

バタバタと忙しく過ごしているうちに、いつの間にか季節が変わりかけている。


東京の冬は、どんな感じなんだろう。


一瞬だけ考えた後、書類を抱え直して駅へと急いだ。