スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

スタジオへ引き返す足取りはだんだん速まって
最後には駆け足になった。


春木さんのジャケットを肩にかけた西澤さんは、俯いて涙を流していた。

春木さんは
そんな彼女の肩を抱き寄せ、顔と顔を近付けていく。



目に焼き付いた残像を振り切るように
私はぐんぐんスピードを上げて走る。


息が弾んでも
胸が破けそうになっても
走る、走る。



私にはわからない。

どうして西澤さんが泣いていたのか

春木さんは彼女に何を囁いていたのか。



胸が苦しくなりその場にしゃがみこむと
背中をつ、と汗が伝った。

薄暗い廊下にはスタジオの喧噪も届かない。
乱れた息が熱かった。



……どうして自分がこんな気持ちになるのか
私にはまだ、わからない。