「ヒーナーちゃん。」


懐かしい声で名前を呼ばれた。
足を止めて振り返る。


「久しぶり」

「一條さん!来てくれたんですね」

「もちろん。」


ジャケットを羽織り、メガネをかけて。

普段より少しだけフォーマルな装いで現れた一條さんは、持っていた大きな花束を私に手渡した。
両手で受け取ると同時に、甘い香りが辺りに広がる。



「はい、初個展おめでとーう。」