スタジオを出て、廊下の一番端まで連れて行く。


「春木さん!春木さんっ、転びそうです!」

「あ。悪い」


彼女がハイヒールを履いている事を忘れていた。
足を止めて振り返ると、いつもより随分高いところに彼女の顔があった。
目線がほぼ同じ位置だ。


「びっくりした。どうしたんですか?」


胸に手を当てて呼吸を直しながら、ヒナはちらちら後ろを振り返る。



「抜けてきちゃっていいんですか?あんまり時間無いんじゃ……」

「す、」

「す?」

「すっげー可愛い……誰にも見せたくないくらい」