スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

「えっ?」

「は?」


その場にいた全員の視線が矢吹さんに集まった。


「だから、来られなくなったモデルの代わり。この子で撮影したら?」


ヒナはシャンパンゴールドのドレスを手に持ったまま、きょとんと矢吹さんを見つめている。


「いやいやいやいや、」


間に割って入って首を振った。


「それはあまりにも。ブランドのイメージとかけ離れすぎてるっていうか……大体、身長も足りないし。こいつじゃロングドレス引きずっちゃうでしょ」

「ヒール履けばいいじゃない。お嬢さん、ちょっと失礼」


矢吹さんはヒナに近づき、彼女の体をくまなく触ってチェックし始めた。


「うん、ウエスト細い。お尻も小さい」

「ちょっとちょっと、矢吹さん」

「お顔も小さい。肌と髪もツヤツヤだし。確かにこのままじゃ可愛らしすぎるかもしれないけど、女の子はメイクでいくらでも変われるんだから。私がブランドイメージにピッタリの、ドレスが似合う大人っぽくてセクシーな女性にしてあげる。いいわよね?」


ヒナの両肩をぽんぽんと叩き、矢吹さんは男性社員に問いかけた。
彼も真剣な目つきで考え込んでいる。


「……そう、ですね。いいんじゃないでしょうか」

「おーい!!」

「決まり!着替えに行きましょ、お嬢さん」