スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

身勝手で叶わない願いだとわかっていたから
あの日、もう二度と会わないつもりで病院を出た。

でもヒナは自分の意志で俺のところに戻ってきてくれた。



『私が好きなのは春木さんだけなんです』



震えた声でそんな事を言われるもんだから
理性なんて簡単にぶっ飛んで

いつだって予想の斜め上をいく彼女を、丸ごと手に入れたくなって。


「春木さん。好き……」


不意打ちの感触に足の付け根が痺れた。

吐息と一緒に貰った想い。
あたたかな何かが、胸の奥の奥のまた奥の方まで満ちていく。


彼女を愛しく思う気持ちは
俺の持つ言葉の限りを尽くしても半分も伝わらないんじゃないかと思う。



「もう置いていかねぇから。安心しろよ」



耳元で囁くように言うと、ヒナは少しだけ笑って頷いた。




想いが通った彼女を
今度こそ守りたいと思った。


俺のすべてを賭けて。