スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜


「田宮さん。今週の新刊届いたから棚に並べてくれる?」

「はーい。」


店長がそう言って、大きな段ボールを次々と運んできてくれた。
床に置かれる度にずしり、と重たい音が響く。

レジ内のお金を整理していた私は、後ろを振り返って頷いた。


自分の担当する芸術書と絵本の段ボールを選び、該当のコーナーまで箱を引っ張っていく。


大学を卒業後、比較的大きな町の書店で働き始め一年が過ぎようとしていた。
一通りの仕事は教わっていたが、毎週山ほど納品される新刊の陳列は最も楽しい作業だった。


箱を開封し、一冊一冊手に取って本と向き合いながら並べていく。
お客様に興味を持ってもらえるようなディスプレイを考えるのも、割と得意な仕事だった。


「うわー、キレイ。」


新人の画家の作品集だという本をパラパラめくり、うっとりとため息を吐く。


担当替えがあり今年から任された芸術書の分野は、それまでなかなか目にする機会が無かった分、新しい発見に満ちていた。

芸術にはとんと疎かったが、誰かの美しい写真集や画集は眺めているだけで心が癒されたり落ち着いたりするものなのだと知った。


一箱分を棚に並べ終わり、二箱めに取りかかる。

ガムテープを剥がし段ボールの口を開けた瞬間、一冊の本の表紙が目に飛び込んできた。