スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

涙を拭い続ける私に、ソファから立ち上がった春木さんが近付いてくる。


「辞めろなんて、言わないでくださ……」


今、彼がどんな顔をしているのか。
涙でぼやけて全く見えない。

でも、きっと呆れている。
追い出されるかもしれない?


そう思った時だった。



「ひゃ、」



強い力で腕を引かれ、バランスを崩した私の体は春木さんに抱き上げられた。

そのままぐるりと景色が回り、何が何だかわからないうちにソファに押し倒されていた。



「……お前」



私の上に覆い被さる春木さんは、なぜか今にも泣き出しそうな顔をしていて。
瞳に浮かぶ切ない色に、理由もわからず苦しくなった。




「どこまで、バカなの?」