スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

病院の外に出ると、空は厚い雲に覆われていた。
今にも雨が降りそうだ。

早足で歩き続ける人の波に
俺はまた、呑まれていく。



『お前は逃げてるだけだよ。目を背けてるだけだ』


『本当はわかってるんだろ?』



あの時、岳にそう言われ
胸に渦巻くモヤモヤに、ようやく名前がついた。


誰かに教えてもらわなきゃ、自分の気持ちも見えない奴に
良い写真なんか撮れる訳ないんだ。



季節はずれの花火のように
ヒナの言葉が浮かんでは、消える。