スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

纏わりつくしがらみの一切を振り払う事で
以前の自分に戻れると思っていた。

カメラを通してまた自分の世界を作り出す事が出来ると、何の疑いもなく信じていた。



でも、そうじゃなかった。



奮起して旅立った外国で考えたのは
結局、ヒナの事ばかりだ。


この景色も見せたい。
あの場所にも連れて行きたい。


俺の撮った写真を見たら、何て言うだろう。
どんな風に笑うんだろうって


断ち切ろうとすればするほど、そんな想いで胸が埋め尽くされた。


あいつが隣にいる事が
当たり前ではなくなった。


たった一年の付き合いなのに、喪失感は半端じゃなかった。



『人のせいにするなよ』



本当だよな。
岳の言う通りだ。


彼女を手放したのは
平常心を保ちきれない自分の弱さと向き合いたくないからだ。