スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

「あの。事務所の片付け終わりましたって。報告の電話です」

『……あぁ』


取ってつけたような嘘を吐いてしまった。
本当はまだ仕事が残っているのに。


『おい』

「はい」

『何かあったのか?』


春木さんの声が、体中の細胞ひとつひとつにまで染み渡っていく。

また涙腺が刺激されたけれど、息を止めて我慢した。


「え?別に何もないですよ」

『……』

「声……聞けて良かったです。安心しました」

『なに、安心って』

「お世話になりました!失礼します」