スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

その瞬間、何かの魔法で体が石に変えられてしまったかのように。
指先ひとつ動かす事が出来なかった。


アパートから出てきたところ。

コンビニに入る背中。

靴ひもを結び直すために屈んでいる横顔。

事務所のポストの前で立ち尽くしているところ。


写っているのは全て昨日の私。


私、私、私、私。



「いや……もういや!!!」



持っているトートバッグの中に次々と写真を突っ込んでいく。


床に零れた分も必死でかき集めていると、カーテンが閉め切られた私の部屋を外から同じ構図で写した写真を何枚も見つけた。

一條さんとの待ち合わせのため、大通りに向かう姿も。

彼の車に乗り込むところまで、大量に写真におさめられていた。