スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

「あの。実は最近……」


言いかけたところで
ふと思いとどまり、口をつぐんだ。


嫌がらせの犯人が一條さんのファンの可能性があると知ったら、彼はどう感じ、どういう行動に出るだろう?
仕事に差し支えるほどショックを受けるかもしれない。

週刊誌にスクープされて以降、一條さんの動向は良くも悪くも世間に注目されているはずだ。


芸能人の彼に迷惑はかけられない。
これ以上甘えられない、と思った。


葛藤を胸の奥に押し込める。



「最近、なに?」

「……いえ。何でもないです」



やっぱり、もう少し様子を見よう。



ヘッドライトに照らされた、道路沿いの桜の木。
伸びた枝の先で膨らんだ蕾が揺れていた。