スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

周りを見渡しても人気は無い。
そのまま写真を拾ってビルに飛び込んだ。


このビルはオートロックだ。
中に入ってしまえば安全なはずだ。


事務所の扉の鍵をかけ終えると、ようやく人心地がついた。

右手にある写真をもう一度見つめる。


後ろ姿ではあるが、写っているのは間違いなく私だった。
服装は昨日のものだ。
事務所へ来る途中か帰り道、どちらかに撮影されたものだろう。



尾行されていたんだ。
私の知らないうちに。



きっと無言電話もイタズラじゃない。
誰かが故意にかけているんだ。