「は?」

目の前に座る面接官が口をあんぐり開けて私を見る。


「無いって……全く無いの?」

「は、はい」

「現場で働いた経験が?」


私はもう一度小さく頷いた。

面接を担当する二人の男性は、顔を見合わせて
それから同時に鼻で笑った。

胸に渦巻く不安感に押しつぶされそうになり、太ももの上で重ねた手を強く握りしめる。


「あのねぇキミ。えぇと田宮、さん?」

「はい」

「これが何の面接かわかってる?」


こみ上げてくる笑いを無理矢理ガマンしているような声色は、ますます私を緊張させた。


「は、はい!もちろん…」

「あの天才カメラマン、春木リョウのアシスタントだよ?」