スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

夕方になるとマスコミがビルの前まで続々押し掛けてきた。
ひっきりなしに鳴り続けるインターフォンは音が鳴らない設定に変え、電話線も引っこ抜いた。

ビルの入口はオートロックのはずなのにどうやって入ったのか、事務所の扉を直接叩く記者もいた。


「春木さん!お話聞かせて下さい!」

「アシスタントの方はいらっしゃいますか!」

「先ほどの一條さんの番組、ご覧になりましたか!?」


閉め切ったブラインドの隙間から外を覗くと、ビルの周りはすっかり取り囲まれているようだ。


「あの…これって……?」


事情を知らないヒナは怯えきっている。


「アシスタントって私の事ですよね……?」


扉の前にいる記者が、誰かに追い払われる気配がした。
警備会社と契約しているビルだとは聞いていたが、まさかこんな事で世話になるとは思ってもみなかった。