スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

何とか先方が納得するポスターが完成したのは、ニューヨークへ発つ二日前だった。

これのおかげで中途半端に残している仕事が幾つもあった。
休む間もなくそれらを片付けなければならないが、俺の写真の出来に左右される仕事は全体的に滞っていた。


今ひとつ精彩を欠く俺の写真に、ヒナは当然気が付いているだろう。


しかし今回は何も指摘してこない。

そんな気遣いにさえ無性に腹がたった。



「ちょっと本屋に資料探しに行ってくる」

「あ、私行きましょうか?」

「……いいよ。残って仕事してろ」


ついキツい言い方をしてしまう。
八つ当たりもいいところだ。



岳とヒナの例の写真が
頭の隅にいつもちらついている。


電話での会話を最後に、岳からの連絡は途絶えていた。