スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

「それにしても」

お腹が満たされたらしい一條さんは、水を飲みながら言う。


「よく咄嗟に体動いたよなぁって。自分でもびっくりしてる」

「え?」

「さっきヒナちゃん見つけた時だよ。やっぱ昔戦隊もののミュージカルに出たのが良かったのかな?」


おどけた言い方が可笑しくて笑ってしまった。


「一瞬、自分が何とかレンジャーになった気がしたもんね」

「はい。一條さんは本物のヒーローでした。助けてくれてありがとうございました」


ぺこりと頭を下げると、一條さんも微笑んだ。



たぶん今日みたいな日は二度と訪れないだろう。

目の前に座る一條さんの笑顔を記憶に焼き付ける。


私と彼の間の空気が優しく揺れた気がした。