がーーーん、と頭の中でもう一人の自分が叫んだ。
ひきつり笑いしか出来ない私の隣で春木さんが吹き出す。


「この子、こう見えて２５。」

「２５！？マジで？ごめん！……で、名前がヒナ？ははは、ピッタリじゃん！！」

「いや。それ俺がさっき言ったから」


ケラケラ笑い続ける二人を前に、春木さんの言葉を思い出す。


『まさにヒナって感じだよね。』


って、もしかして鳥の「雛」？

子どもにしか見えないって事！？

確かに童顔だって言われるけど、こんなに笑われるほどだなんて……


「因みに、さっきまでお前の事は知らなかったそうです」

「へーえ…」


大きな目で睨まれると、怒りも忘れて身震いしてしまう。


「ごめんなさい！これから一生懸命、一條さんに詳しくなります！」


思わずそんな言葉が口をついて出た。
一條さんはきょとんと私を見つめていたが、やがて豪快に笑い出した。


「リョウ！おもしれーな、この子！」

「……あまりからかわないように」

「俺は一條岳。一応俳優。覚えておいてな、ヒナちゃん！」


春木さんを軽く無視して差し出された大きな手をおずおずと握ると、痛いくらいの力で握り返された。