カレンの新しい恋人の存在を知るまでに、それほど時間はかからなかった。
ワイドショーで見たのか、岳の口からだったか。
その手段はもう思い出せない。
立ち止まる理由はない。
振り返る時間もない。
ただ二年という月日を共に過ごしただけだ。
消化不良の想いを無理矢理飲み下す度、腹の底にどす黒い何かが溜まっていくようで気分が悪かった。
その『何か』が溢れそうになる夜は仕事の事だけ考えた。
俺には写真がある。
いつだってそうだった。
数えきれないほど現場をこなした。
コンクールで賞を穫った。
写真集を出した。
アシスタントができた。
仕事に没頭し、無理矢理頭の片隅に追いやったカレンの存在は
もう何年も思い出していなかった。

