スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

「誰もいないね?」

「当たり前だろ。何でこんな時間に海まで来なくちゃなんないんだよ」

「いいじゃん。リョウちゃんだって今年初めてでしょ?このままじゃ海も見ないで夏が終わっちゃいそうだったんだもん……わっ、冷たい!」


寄せては返す穏やかな波が、彼女の足を濡らし砂をさらっていく。
朝日がきらきら反射して眩しい。


「タオルとか持ってきてねーぞ。」

「いいよ。リョウちゃんのTシャツで拭くから」

「ふざけんなよ」


カレンはくるぶしまであるワンピースの裾をたくし上げて笑った。



お互いに仕事がたてこみ、すれ違いの日々が続いていた。

今日みたいにカレンが俺の家を訪ねてくるのはたいてい夜更けで、合い鍵を使ってそっと入ってくる。

俺は先に眠り、起きるとカレンが隣で眠っていた。


そのまま身支度を済ませ、仕事に出かける。
帰宅すると家は既に空っぽだ。


テレビの中でしか起きているカレンを見る事が出来なかった。



これからはこんな風に、多少無理をしなくちゃ二人の時間は作れないのかもしれない。

ぼんやり考えていると、突然頬で水滴が弾けた。