「きゃー‼︎」 あー。うぜぇー! そう心で嘆いた時、こちらに目もくれず体育館へ向かう女が目に入った。 自慢じゃないが、女は俺を見ると立ち止まったり、このように垣を作る。どちらもしない女は初めてだ。 女の黒くて長い髪が、風をはらんで、広がった。そうして見えた、女の横顔に周りの男たちは釘ついた。 桜の花弁のような、小さくピンク色の唇。大きく開いた青い瞳。 誰もが振り返る、絶対的美少女だった。 「蓮さまぁ?どうされたのですぅ?」 キモ。まじでキモいわ…。 「おい、留衣」