顔に、思いっきり風が体当たりした。 目をギュッと閉じつつも、繋いだ手だけは離さないと強く握った。 体当たりしてくる、風が弱まった気がして目を開けた。 地面から見て3メートル上にいる。 【瞬空】してから、約1秒。 【瞬空】の腕は大分上がったようだ。 「水城さん。着きましたよ」 目をギュッと閉じ、風圧に顔を歪ませていた水城に声をかける。 水城はそっと目を開けた。そして、赤い目いっぱいに目を見開く。 「す、すげぇ…本当に【瞬空】した…」