なにかの物音がする。


少し離れた場所から。


食器の音……?


それに……話し声も。


はっとして目を開く。


白い天井、少し明るい室内。


雨の音は……しないようだ。



ん?部屋?え、なんで?


上半身を起こし、室内を見渡す。


ここは――どこなの?



暫くして足音が聴こえてくる。


「お、気がついた?よかった、やっぱこの人は生きてたよ!」


金髪の男の子が私を見るなり、遠くに聞こえる様な大声で言った。


身長はそれほど高くもない、私よりほんの少し高いくらいだ。


同い年か、そうでなければ年下だろう。



「あの……」


「ああ、はじめまして!俺は陸翔。君が道で倒れているところを見つけたから、びっくりして連れて来ちゃった」


陸翔さんはそう言って屈託の無い笑顔を浮かべた。



「えーっと、君の名前も教えてほしいんだけど……」


「あ、未来です……。あの、助けていただいてありがとうございます」


「未来ちゃんか……。敬語じゃなくていいよ。そういうの俺、あんま好きじゃないし」


「それに、これから一緒に住むわけだし、敬語なんて堅苦しいよ」



ふむふむ、なるほ……ど!?


納得しかけた頭の中をもう一度整理する。


え、一緒に住むって言った?この人。



「え、一緒に住むって、どういう――」


「あれ、ごめん。俺が察するに、住む場所も食料も無くって、あの場所に倒れていたのかと思って。そういうことなら、助けるしか無いじゃん?」



た、確かに、間違っちゃいないけど……。


すると、部屋の外から声が聞こえた。



「おい陸翔、お嬢さんを困らせちゃダメだろ?」



チラリと部屋を覗く背の高い赤髪の人。


その男の人は陸翔と比べるとかなりの身長差だ。