もしもあの時

あの花を摘んでいなかったら・・・

もしもあの時

あの人に出会わなかったら・・・

今の私はどうなっていたんだろう・・・・

ただ   ―今が一番幸せだ―




「ほらみんなぁ~ 今日はここでお花摘みをしますよ」

先生が私たちに声をかける

やったぁ!きれい!

沢山お花があるなぁ・・・・全部ミナのものぉ!

わぁっ!あんなところに黄色いお花がたっくさん!

沢山とれたぁ!


・・・・・・?

あれ、あそこにあるのは紫色のお花かな・・・・

よいしょっと・・・・

わぁ!きれいな紫色のお花だ!はじめてみた!

よぉーし!ミナが一番に取っちゃうもんね

お花さんもうちょっと待ってね

いまそこにいくから

やっとこれたぁ~

よぉ~し、いただきっ!

「プチッ」

やった!とった!

あぁ~!セナくん!それミナのぉ!

はやいもんがちだし!だからセナの!

ミナの!

セナの!

ミナの!

セナの!

「ほら、二人とも喧嘩しないの」

だって・・・セナくんがみなのお花とったんだもん・・・

ちがうよ!セナがさいしょにとったもん!

「ほら、ミナちゃん」

わぁ!おんなじお花だぁ!

先生ありがとぉ!






私は 美菜 中学2年生

一応陸上部なんだけど、文科系もそれなりに好きかな・・・

今は、同じクラスの美樹とランチ♪

漢字で書いても一文字違いの私たちは、よく姉妹に間違えられるほど似ていて、仲がいい

いつも一緒にいて話も合うし、同じ陸上部

私はがり勉!とかじゃなくて、フツーの毎日をすごしてる

「美菜~」

ぼーっとしていた私に、美樹がニコニコとこっちを向いている

「どうかした?」

「ううん」

「美菜って、よくボーっとしてるとねぇ~」

「え?そ、そうかなぁ・・・」

「え?気づいてないの?この前もコンビにのアイス売り場の前でボーっとしてたじゃん」

「ホント!?やばぁ・・・」

私の癖と言ったらなんだかおかしいけど、私はよくボーっとしてしまう

自分でも何でボーっとしてるのか、よくわからない

いや、考えたこともなかった

学校の帰りに私は本屋さんに行った

私はこう見えて本を読むのが好きで、本屋さんには結構通ってる

今日もまた3冊買ってきた

毎日寝る前に本を読むのが私流


「ただいま~」

いいにおいがする

私の大好きなカレーかもしれない

「やったぁ!カレーだ!大正解!」

思わず声に出してしまった私に弟が不思議な目で見てきた

私は笑いでながす・・・・場の空気がなんだか悪くなりそうだったらとにかく笑い飛ばす

これが中学生だ

やっぱり布団はあったかい

私の一番好きな場所は布団の中だ

ぬくもりに包まれて自分の好きな本を読む

これほど幸せなときがほかにあるだろうか

今日も借りてきた本を読もう・・・・

「バサッ」

あ~あまた落ちちゃった

おっちょこちょいな私はよく積み上げられた本の山を崩してしまう

本をきちんと直さないといけないのはわかってる

でも・・・めんどくさい・・・・

こんなこといってられないし、とりあえず少しだけ片付けるか

私は、山積みになった本を一冊ずつなおしていった

前に読んだ本が沢山出てきて懐かしさが私を包んだ

やっと最後の一冊・・・

気がつけば少しだけ片付けるつもりが残り一冊になっていた

最後の一冊を握ったときそれまでの本とは何かが違う気がした

なんだか本じゃないみたいにぼろぼろだし、

ー数の絵本ー

だいめいなんて、もう幼稚園の本みたいじゃない・・・・

いや・・・・幼稚園のころにもらった本だ

毎月一冊配られていた本だ

なんでだろう・・・・

何で5月の本なんだろう・・・・

最後の一冊を記念にとって置くならわかる

でも・・・・5月なんてなにが・・・・

いつの間にか一ページ目をめくっていた

りんごのイラストがひとつある

となりに

‘いち'

って書いてある

今となっては当たり前だよね・・・

この本を読んでいたころもあったんだと懐かしくページをぱらぱらめくっていると

ちょっとまって・・・・

今何か見えたような・・・

気のせいかな?

私は気のせいと思いながらもページを戻ってみた

やっぱり気のせいかとおもったとき、そこにはひとつの花がはさんであった

しわしわになっていた

私は部屋の電気をつけてその花をよく見てみた

スミレの花だ

これってまさか・・・・

あの頃に先生にもらったけなぁ・・・・

星七くん・・・・・

どこにいるんだろう

知らないよね・・・・・

信じないよね・・・・

私がずっと・・・・・

幼稚園のころからずっと・・・・・・・

星七くんが好きなこと・・・・