─20分後─


ガチャッ!



「お兄ちゃん!!」


パンパン!!


「きゃっ!」


「「「笑美ちゃん、誕生日おめでとう!」」」


「えっ・・・?」


きっと、家に帰ってからもずっと泣いてたんだろうな。


目を真っ赤にして部屋に駆け込んできた笑美は、呆然とドアの前に立っていた。


「お兄ちゃん・・・?えっ、これって・・・」


笑美の表情がくしゃっと崩れた。


「笑美、さっきはごめんな。
あれ、本心じゃないから。
このために帰ってもらっただけだから。
オレ、笑美がそばにいて励ましてくれるから、こんなに苦しい治療も頑張れるんだ。

笑美、誕生日おめでとう。
これからもよろしくな」


「……っ、お兄ちゃん…!」


笑美が泣きながら飛びついてきた。



「私、お兄ちゃんにあんなこと言われたとき、心折れそうだった・・・
確かに、お兄ちゃんの気持ちはわからない。
でもね、最近わかってきたの・・・
お兄ちゃんが辛そうにしてると、私も辛いの・・・
もう来るなって言われたけど、やっぱりお兄ちゃんのそばで一緒に闘いたい・・・
力になりたいよ・・・!」



これが、笑美の想い・・・


オレ、バカだな。


こんなに想ってくれていた妹に、ウソでもあんな態度をとってしまったなんて・・・


そう思うと、笑美を抱きしめる手に力が入った。



「ごめんな・・・ありがとう」