────1週間後───



今日から治療が開始される。


さっき、看護師さんによって薬の入った点滴が繋がれた。


「お兄ちゃん、苦しくなったらすぐ言ってね?」


「おう」


昼ご飯も食べて暇だし、漫画でも読むか。


そう思って体を起こした。


そのとき…


「うっ…」


突然、何かが込み上げてきた。


「お兄ちゃん?」


「笑美…吐く……」



抗がん剤は、予想を遥かに越える苦しさだった。


車の中で宙づりにされながら山道を走っている感じで襲ってくる、激しい吐き気。


「お兄ちゃん・・・」


オレの背中をさすってくれる笑美の手にも力が入る。


しばらく吐いたら、少しだけ落ちついた。



「はぁ…ごめんな・・・」


「謝らないで。もう大丈夫?」


「うん・・・サンキュ」


初めからこれかよ・・・


オレ、大丈夫かな・・・