笑顔のチカラ~笑う門には福来る~



────ホテル────




「夜の布団でする大イベントと言えば…」


「枕投げ!」


「恋バナ大会!!」


「はぁ?恋バナ!?」


大樹が目をキラキラさせている。


あれって、女子がするもんじゃないのか?


「もう、オレたちも中2。
好きな子の1人や2人はいるだろ?」


大樹・・・

めっちゃ張りきってるな。


「オレは、宮元 葵がいいな~」


「えっ、お前も!?」


「え、お前も?マジかー」


宮元 葵(みやもと あおい)は、クラス1背が小さくて、リスとかの小動物みたいなヤツ。


オレは別にかわいいとは思わないけど・・・


「葵か・・・オレはるなの方がいいな~」


大樹が言った。


それは前からわかってたこと。


「出ました、委員長!」


「確かに、頭いいし、明るいしな!」


ほら、やっぱりるなはモテるんじゃん。


オレなんかに告んなくても大丈夫だよ。


「でも、オレは見た・・・
勇生がるなに告るところを!」


ドン!


いってぇ……


頬杖ついてた手の力が抜けて、布団に顎を打ちつけた。


「はぁ!? 勇生、マジか!」


「ちげぇよ!」


何でそうなる!


「正直に白状しろよ。カツ丼食うか?
なぁ勇生」


大樹が何かの刑事の真似をしている。


カツ丼・・・


久しぶりに食いたいな~


って、違う!


これは関係ない。


「だから、違うって言ってるだろ!?」


「オレは見たんだ。
勇生がるなに告って、るなが泣いて・・・」


「オレじゃねぇ!
あいつがオレに告ったんだ!
・・・・・・あっ・・・!」


「「「え━━━━━━━━━━っ!」」」


言ってしまった・・・


「マジかぁ、るなは勇生が好きだったのか…
で、返事は?」


悔しそうに返事を聞いてくる大樹に、オレは爆弾を落とした。


「えっと…断った」


「「「え━━━━━━━━━━っ!」」」



ホテル中に響くんじゃないかってくらいの大声で驚かれた。



「何で?もったいねぇ!」


「るなとお前なら、オレも諦めついたのに!」



次々と責め立てられる。


「だってオレ、白血病だし。
るなを幸せにできないからな」



オレがそう言うと


今度は空気が重くなった。


「あ、それに、笑美もいるし。
オレには彼女なんていなくていいんだ」


「あー、笑美ちゃん、かわいいよな!!
勇生のこと大好きで、いつもお兄ちゃん、お兄ちゃんって。
しかも、あの笑顔!
あんな笑顔を毎日そばで見られるなんて、羨ましすぎるぞ勇生~!」


さっきの態度と打って変わって、大樹がニヤニヤして絡んできた。



「へぇ~そんなにかわいいんだ?」


「今度、見に行くわ」


他の奴らも興味津々な様子で言う。


「お前たち、笑美がかわいいのは認めるけどさ〜」


笑美はオレの大事な妹なんだぞ。

そんな見せ物じゃないんだから。


「もしオレが笑美ちゃんと結婚したら、勇生のことを“おにいさん”って呼ぶことになるんだよな〜」


「おにいさん!?や、やだよ!
お前が弟になるなんて。

それに、お前はるなが好きなんだろ?」


「ははっ!心配するのそこ?
笑美ちゃんが結婚するのはいいんだ?」


「もちろん嫌だけど・・・」


「そんなに心配しなくても、オレだってお前の義弟になんかなりたくないし」


なんだ、そっか・・・


ってかオレ、ヤバくね?


何か将来、


娘はやらん!


じゃなくて、


妹はやらん!


ってなってそう・・・


それだけはやめよう。


「お前の入院中、ずっと支えてきたのは笑美ちゃんだってこと、よくわかってる。
笑美ちゃんがいたから、お前もよくなったんだもんな」


笑美がいたから、オレは頑張れた。


ずっと支えてくれたのは、笑美・・・


大樹の無邪気に笑って言う言葉で、改めて気づいたよ。


「これからも、笑美ちゃんを大事にしろよ」


「おう」