君との距離

一ヶ月後。

僕達の入学式は始まった。
隣に彼女は、いない。



というのは、ただ学校が違うだけ。
帰りは一緒にかえる。
そんなんだったら、もっと早くに告白すればよかったな。とは思うけど、学力の問題もあるし。それにこれまで凡人以下の人生を送って来た僕には刺激が強すぎる。
これ以上僕なんかが幸せになると神様が怒って死んでしまいそうだ。









帰り道。
並んでいる二人の影は手を繋いでいる。
今まで人と帰ったことの無い僕にとってこの瞬間はなんとも言えない感激に包まれる瞬間だった。

二人の背中には僕があげたおそろいのクマのキーホルダー。
不意に揺れた衝撃で二匹はキスをした。
彼女はまた驚いた顔でそれを見つめ、赤面しながら何も知らない僕に耳打ちをする。
それを聞いた僕は彼女の赤面が移った。
周りに誰もいないのを確認し、そっと頷く。

そして、僕達の距離はゼロを越えてマイナスとなる――