右手に花。残念なからそれは、女子のことでも、プロポーズ用の花のことでもない。卒業式で配られたみんなお揃いの、お決まりの花だった。名前は知らないがオレンジ色でいい香り。
それが余計にもうこれで本当に終わったんだ、と実感させてくれる。
慌ただしく大人たちがカメラという道具を僕達、子供に向け、偽物の笑顔を撮ると満足そうに帰っていった。
僕は優等生という仮面を被っているので後片付けを任された。
NO、と言えない僕はそれを行い今に至る。
どうやらみんな帰ったらしい。もう人はおらず、僕の靴以外何も見当たらない下駄箱に少し、寂寥の感を抱く。
せめてみんなにお別れぐらい伝えたかったな。いくら人とつるまなくても、僕は人間だ。感謝の気持ちぐらい持っている。
それにもう少し早く終わっていたら、彼女を最後に一目、見ることが出来たかも知れないのに。やっぱり大人は嫌いだ。
あ、そういえば今日はホワイトデーじゃん。卒業式の印象が強すぎて忘れていた。
クラスの女子が交換をしていたようないなかったような...
なにせ興味が全くございませんので覚えていません。
しかもバレンタインのお返し、まだ出来ていないし。
一応いつか、話す機会があったら渡そう、といつもカバンに入れているのだがついにその日は来なかったな。
ちょうど1年。くしゃくしゃになった袋に流行も終わっているようなつまらない物だ。
渡さなくて正解だろう。
靴を履き替えて前を向く。
ーこの下駄箱とももうお別れか...
誰がやったのだろう。下駄箱の上部には落書きがある。それに気づかなかったのは僕がいつも下を向いていたからなのか、背が伸びたからなのか。
知らないことなんてまだまだ沢山あるのにな...
カタッ
独り想いに浸っていると後ろから物音がした。まだ残っている人がいたのか?
...おかしい。みんなお別れパーティーや家族と家に帰ったはずだ。なのになんで、誰が...
警戒心を働かせつつ、恐る恐る後ろを振り返った。
「 ...なんか言ってよ」
何秒たったのだろう。息をするのも忘れていた僕はその言葉でやっと現実に戻ってこれた。胸が...痛い。それは呼吸を忘れていたせいなのかこの気持ちのせいなのだろうか。うん、そんな事はどうでもいい。この状態、今この瞬間、これは夢じゃないんだ。
「 久しぶり」
そこには幾分髪の伸びた、でもあの時の笑顔と変わらない彼女が立っていた。
それが余計にもうこれで本当に終わったんだ、と実感させてくれる。
慌ただしく大人たちがカメラという道具を僕達、子供に向け、偽物の笑顔を撮ると満足そうに帰っていった。
僕は優等生という仮面を被っているので後片付けを任された。
NO、と言えない僕はそれを行い今に至る。
どうやらみんな帰ったらしい。もう人はおらず、僕の靴以外何も見当たらない下駄箱に少し、寂寥の感を抱く。
せめてみんなにお別れぐらい伝えたかったな。いくら人とつるまなくても、僕は人間だ。感謝の気持ちぐらい持っている。
それにもう少し早く終わっていたら、彼女を最後に一目、見ることが出来たかも知れないのに。やっぱり大人は嫌いだ。
あ、そういえば今日はホワイトデーじゃん。卒業式の印象が強すぎて忘れていた。
クラスの女子が交換をしていたようないなかったような...
なにせ興味が全くございませんので覚えていません。
しかもバレンタインのお返し、まだ出来ていないし。
一応いつか、話す機会があったら渡そう、といつもカバンに入れているのだがついにその日は来なかったな。
ちょうど1年。くしゃくしゃになった袋に流行も終わっているようなつまらない物だ。
渡さなくて正解だろう。
靴を履き替えて前を向く。
ーこの下駄箱とももうお別れか...
誰がやったのだろう。下駄箱の上部には落書きがある。それに気づかなかったのは僕がいつも下を向いていたからなのか、背が伸びたからなのか。
知らないことなんてまだまだ沢山あるのにな...
カタッ
独り想いに浸っていると後ろから物音がした。まだ残っている人がいたのか?
...おかしい。みんなお別れパーティーや家族と家に帰ったはずだ。なのになんで、誰が...
警戒心を働かせつつ、恐る恐る後ろを振り返った。
「 ...なんか言ってよ」
何秒たったのだろう。息をするのも忘れていた僕はその言葉でやっと現実に戻ってこれた。胸が...痛い。それは呼吸を忘れていたせいなのかこの気持ちのせいなのだろうか。うん、そんな事はどうでもいい。この状態、今この瞬間、これは夢じゃないんだ。
「 久しぶり」
そこには幾分髪の伸びた、でもあの時の笑顔と変わらない彼女が立っていた。

