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「…うっす。もう、体調はいいのか?」

洗面所から出てすぐに、階段を下りてきた大賀見と出会した。

「うん、迷惑かけてゴメンね。」

私は大賀見の胸の辺りを見ながら返事をする。

自分の気持ちに気づいてから、なんだか恥ずかしくて大賀見の顔を直視できない。

「なんか変だな、お前…まだ熱があんのか?」

そう言って私の前髪をよけ、コツンと額を合わせた。

ち、ち、近いよっ///

トクンッ、トクンッ、トクンッ…

どんどん心拍数が上がっていき、顔も熱くなっていく。

「顔が赤いな。やっぱ、まだ寝てる方がいいんじゃねぇの?」

これはアンタのせいだからっ///

「大丈夫っ///すぐに朝ごはんを作るから待ってて。」

恥ずかしいのもあって、私は慌ててキッチンへ向おうとした。

パシッ…

「ちょっと待った。」

大賀見に手首を掴まれて引き止められる。

「な、なに?///」

「お前、病みあがりのくせに家政婦するつもり?」

「当たり前でしょ?」

「バカか?
そんな事しなくていいよ。今日は一日休んどけ。」

「そんなわけにはいかないでしょ。ご飯とかどうするのよ?」

「…俺が作る///」

「え⁈料理…できるの?」

「俺には強力な助っ人がいる。」

そう言ってキッチンへ行ってしまった大賀見。

大丈夫かなぁ…?

しかも、強力な助っ人って誰よ?

不安に思いながら私もキッチンへ向かった。

「お前は大人しく椅子に座っとけよ。」

それだけ言って、大賀見は何かブツブツと言いながらキッチンで作業をしている。

慣れない事をして、ぎこちない動きをしている姿がなんか可愛い///

私は言われた通り大人しく椅子に座って待つことにした。

カシャカシャカシャ…

ん?

何か泡立て器で混ぜてる?

必死に見てるあれは………

スマホ?

レシピを検索して作ってくれてるんだ。

強力な助っ人ってスマホかぁ。

ふふふ…と自然と笑みがこぼれる。

「なに笑ってんだよ。」

キッチンにいた大賀見が、いつの間にか目の前に居た。

「なんでもないよ。何作ってくれたの?」

コトン…とテーブルの上に置かれたお皿を見る。

「うわぁっ、フルーツサンドだっ。嬉しいっ。」

お皿の上には、フレッシュな苺がたくさん挟まれたサンドウィッチがあった。

カシャカシャと混ぜていたのはクリームだったのね。

私は目をキラキラとさせながらフルーツサンドを眺める。

「いいから、早く食えよっ///」

照れながら私の髪をクシャクシャッとして、向かいの席に座った。

「いただきます。」

パクッと一口食べると、口の中に程よい甘酸っぱさが広がる。

パンもフワフワ、クリームも甘さ控えめで、私好みのとても美味しいフルーツサンドだった。

「美味しいっっ。」

向かいに座ってる大賀見を見ると、今までに見た事がないほどの優しい顔で私を見ていた。

「当たり前だろ///
この俺様が作ったんだから。有り難く思えよ。」

フッと横を向き、私から視線をそらしながら言った。

心なしか顔が赤い…。

「ふふふ…ありがとう、大賀見。」

「ばぁか、いいからサッサと食えよ///」

朝食をとった後、微熱がまだあったため、大賀見に無理やり部屋に連れていかれて布団に押し込まれた。