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家に着くと私はすぐに着替えて、夕食の準備にとりかかった。

大賀見は制服のネクタイだけ外して、リビングでテレビを見ながら寛いでいる。

「ねぇ、着替えなきゃ制服がシワになっちゃうよ。」

私は野菜を切っている手を止め、リビングへ行き着替えるように促す。

ソファに寝転がっている大賀見が、相変わらずの綺麗な顔で私を見上げた。

「ん。」

と言って片手を私の方へ差し出した。

「え、なに?」

起こせってこと?

私は差し出されたその手に自分の手を乗せる。

すると、大賀見がニヤリと不敵に笑ったかと思うと力強く手を引かれ、私は大賀見の上に倒れ込んでしまった。

「な、な、何するのよっ///」

慌てて大賀見から離れようとするが、手をガッチリと掴んだまま離してくれない。

大賀見の妖艶な瞳に囚われて、視線を逸らす事すら出来ないでいると

「なぁ…。そんなに言うんだったら、お前が着替えさせたら?」

大賀見が掴んでいる私の手を胸元へ運び、上から自分の手を覆い被せたまま、シャツのボタンを外していく。

「ちょっ、ちょっと!離してよっ///」

大賀見は私の言葉なんて無視して、どんどんボタンを外していく。

シャツの下から綺麗な鎖骨が露わになり、私は大賀見の色香にのみ込まれそうになっていた。

トクンッ、トクンッ、と鼓動が速くなり顔も熱くなっていく。

「…プハッ、めちゃ顔が赤いじゃん。」

「あ、アンタが訳のわからない事するからっ///」

やっと手が解放されてホッとしていると、大賀見は何も無かったかのようにソファを離れた。

「冗談だよ。お前、男に免疫なさすぎ。」

と言って笑いながら階段を上って行く。

私は力が抜けて、ソファにもたれ掛かった。

う"〜…なんなのよ、いったい///

………………………………っ⁈

ひょっとして、からかわれた⁇

「大賀見の馬鹿ヤローっ///」

リビングで思わず叫ぶと、2階から大賀見のケラケラと笑う声が聞こえてきた。

マジなんなのっ⁈

さっきは優しいと思ったのに、今度はからかうような事をしてさっ///

本当っ、大賀見って人間がわからないよっ。