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「ゴメン、葵。先に帰ってて。」

顔の前で申し訳なさそうに手を合わせている優衣。

優衣は小林くんに呼び出されて、今から職員室へ行くらしい。

仕方ない…今日はひとりで寂しく帰るか。

「うん、わかった。また月曜日。」

そう言って優衣にバイバイと手を振り、私はひとり昇降口へと向かう。

靴箱を開け、スリッパからローファーへ 履き替えた。

鞄から折り畳み傘を出し、ザーザーと激しく雨が降っている外を見ると、大賀見の後ろ姿が視界に入る。

「大賀見、傘持ってないの？」

出口に突っ立っている大賀見に話しかけると、大賀見がこっちを向いた。

私が傘をひろげて「一緒に入る？」と言うと、目を見開いた大賀見。

そしてバッと目を逸らし「いらねー」と言って激しい雨の中を走って行ってしまった。